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【識者の眼】「産業医のためのオミクロン株を想定した企業での新型コロナ対策」和田耕治

No.5100 (2022年01月22日発行) P.54

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2022-01-13

最終更新日: 2022-01-13

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企業における新型コロナ対策として、この状況で行うべきことは、オミクロン株の特徴をふまえて、早期の感染対策の強化が必要であることを企業のトップに伝えることである。衛生委員会などでもしっかり伝えたい。企業のトップは職員に対して、感染対策の強化のメッセージと、まん延しても社会機能を維持できるようにすることを方針にすると伝える。

この数カ月はある程度落ち着いた日があり、感染対策が行われなくなっているところがある。急いで社内のガイドラインやルールを見直し、周知することが必要である。感染した場合、症状がある場合、濃厚接触者にはどう対応することになっているのか。今後は特に子どもの感染に考慮しなければならない。それにより出勤できる職員が減る可能性がある。オミクロン株は「軽症」と強調され、死亡のリスクも減ったということだが、感染の広がりは早い。家族内感染も多くなり、一家全員が感染するような事例も国内で増加が確認されている。

隔離を必要とする日数については潜伏期間が短くなったことや、症状の軽快が早い人も多いことから、海外でも短縮することが示されている。今後、日本でどうするか近く示されると思われるため、それを参照して対応することになる。

社内において、濃厚接触者となるような接触場面を減らしておくことも重要になる。ランチや休憩場所での会話を制限する、マスクを外すことがないように、そして寒いが換気は適宜行う。

家族以外との会食については早い段階から控えることも必要である。今日の感染者として示されているのは10日前の様子をみているので、この数日の急速な拡大を考慮しておきたい。自治体のルールに従うというのは間違いではないが、特に社会機能の維持に関わる事業者では社員に早めにお願いをしてはどうだろうか。

事業継続において重要業務は何なのか。職員の5%、10%、20%がそれぞれの部署で休んで社会機能の維持などに対応できるのかを考えておきたい。

テレワークが普及していない企業はまだ多い。今一度できないか、または練習もかねて一度はやってみることなどは早急に行いたい。

海外の事例をみると、この2カ月において感染の急拡大により様々なことが起こりえる。こうした難局がまだ想像できない社員も多いが、産業医としてきちんと伝えておくことは重要である。ただ恐れさせるのではなく、休みがでた場合に職員同士が協力していくことが求められる。

※2022年1月12日に執筆している。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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