No.5109 (2022年03月26日発行) P.61
佐藤敏信 (久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)
登録日: 2022-03-04
最終更新日: 2022-03-04
本連載は、新型コロナとその対策についての日米比較と言う趣旨でスタートしたのだが、ここ数カ月でずいぶん様相が変わった。日本はいったん収束し、昨年末には最早危機は去ったようにさえ思えたのだが、成人の日を過ぎる頃からオミクロン株の急増に見舞われ、第6波となった。私としても、せめて科学的なデータや評価をある程度見きわめてからそれらしいことを書こうと考えていたのだが、事態が時々刻々と変化するため、安直にコメントするわけにもいかず、ただ見守っていたというのが本当のところである。
それなりのことも言える時期に来たようなので、いつものour world in dataで見てみる。まず図 1は主要各国のワクチンの3回目接種の人口100人当たりの数である。昨年の9月頃から本格化しているので、そこを起点とした現在までの推移である。次に、図 2は同じ各国の同じ期間について、人口100万人当たりの新規感染者数の7日間平均を見たものである。
普通に考えれば、ワクチンの3回目接種の進捗と新規感染者の数とは関連すると考えられ、実際英国、米国はそう見える。しかし、韓国、ドイツ、フランスについてはそうではない。日本は新規感染者数の増減傾向については、英米型なのだが、その減少傾向がなだらかなのは、3回目接種が遅れていることが影響しているのだろうか。いずれにしても実に興味深い結果であり、今後の丁寧な分析が必要だろう。
次回は、この感染の動向と、政府による規制の関係について見てみる。
佐藤敏信(久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)[新型コロナウイルス感染症]