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【識者の眼】「過去・未来・終を線でつなぐエンディングノート〜杵築市版〜」岡江晃児

No.5118 (2022年05月28日発行) P.61

岡江晃児 (杵築市医療介護連携課兼杵築市立山香病院・ソーシャルワーカー)

登録日: 2022-04-11

最終更新日: 2022-04-11

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私が現在ソーシャルワークしている大分県杵築市では、多くの国民が認知している「終活」という言葉を活用し、2018年度から「きつき終活応援プロジェクト」として様々な事業を展開し、元気な時から「死生」や「人生会議」について考える文化の構築をめざしている。その中の事業のひとつで、杵築市独自でエンディングノート(2017年)を作成している。そして、この度(2022年3月)、エンディングノートをリニューアルしたので、その内容について報告する。

リニューアルの特徴は、章立てのうち「第6章 人生100ライフプラン」と「第7章 人生会議」の追加である。

市政出前講座「終活・エンディングノート書き方講座」のアンケート結果や市民との交流を通して明らかになったことは、終活やエンディングノートが「人生最終段階」といった「終」の点だけでなく、「これからの人生をどう過ごしていくか」「これからもできる限り健康でいるためには具体的にどうしたらいいか」等の未来をどう生きていくかといった、過去と「終」も含めた「線」の重要性であった。そのことを踏まえ、「線」を具体的に記載していくことができるように「第6章 人生100ライフプラン」の章を設けて、未来に合わせて「これからやりたいこと」「行きたいところ」「暮らし方(住まい・働き方・お金)」「健康」「地域活動(ボランティア)」を記載できるようにしている。

「第7章 人生会議」は、エンディングノートを通して、家族や大切な方と繰り返し話し合ってほしいという思いを込めて追加した。エンディングノートはもちろん自分の死生観や価値観を見つめ直すツールであるが、そのような「個」だけでなく「集」としてのツールの役割もあると数年この事業に関わらせてもらい、強く実感している。市政出前講座に来られた夫婦がエンディングノートを通して、照れながらも笑顔で相互の死生観や価値観を再確認している光景が強く印象に残っている。

杵築市はエンディングノートのリニューアルを通して、より一層「人生会議」を考えるきっかけになれるよう継続して普及啓発を行っていく。また、リニューアルした杵築市版のエンディングノートは杵築市ホームページからダウンロードもできるのでぜひご覧になって頂きたい。

【参考】

▶杵築市ホームページ:『きつき ネバーエンディングノート』

 https://www.city.kitsuki.lg.jp/konnatokiniha/10/3738.html

岡江晃児(杵築市医療介護連携課兼杵築市立山香病院・ソーシャルワーカー)[人生会議][未来の生き方]

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