政府の規制改革推進会議は5月27日、規制改革推進に関する答申を公表した。医療・介護関係では、オンライン診療の受診場所の制約緩和や、特別養護老人ホームにおける訪問診療、往診、オンライン診療の医療・介護保険での評価などを盛り込んだ。答申の内容は、政府が近く閣議決定する規制改革実施計画に反映される。
答申は、新型コロナウイルスの感染拡大が、「我が国の医療デジタル化の遅れを始め医療関連制度の不全を露呈させた」と指摘。その解決策として、(1)医療DXの基盤整備、(2)医療DXを支える医療関係者の専門能力の最大発揮、(3)利用者のケアの充実が図られ専門職が力を発揮できる持続的な介護制度の構築―などを念頭に規制改革に取り組む必要性を説いた。
(1)ではオンライン診療について、通所介護事業所や公民館といった身近な場所での受診を可能にするよう求める意見があることや、デジタルデバイスに明るくない高齢者の医療を確保する観点から、オンライン診療の受診が可能な場所や条件に関する課題を整理・検討し、結論を得ることを要求。オンライン診療に関する指針を改訂し、対面診療に比べて厳格な基準が設けられている情報セキュリティや本人確認に関する規定を緩和することや、診療内容等が適切ではないと考えられる事例の周知を図って患者の安全性を担保することなども求めた。
(2)では高齢化のさらなる進行や医療ニーズの拡大・多様化に限られた人材で対応していくには、医療・介護関係職種間でのタスクシフト/タスクシェアの推進が必須だと主張。その一環として在宅医療では、患者宅で必要となる点滴薬剤の充塡・交換や患者の褥瘡への薬剤塗布といった行為を薬剤師が実施することの適否に関して、その必要性、実行可能性などの課題を整理することを提言した。
(3)では、特別養護老人ホームの配置医師による医療の提供について、現行制度では施設内の医療ニーズに十分応えられていないと問題視。その改善のため、まずは配置医師の実態や、入居者の医療ニーズの具体的内容、実際に行われている医療対応などを調査し、その結果を踏まえて、特養で必要な訪問診療、往診、オンライン診療を介護・医療保険で適切に評価するなどの措置を速やかに講じるよう求めた。