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【識者の眼】「看護師数による病院病棟評価からの脱皮か!〜急性期充実体制加算による病院機能評価への転換か?」武久洋三

武久洋三 (医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)

登録日: 2022-06-24

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「看護職員の数さえいればよい急性期病院だ」という誤った思想が長い間病院の機能を誤解させてきたことが、2022年度診療報酬改定で、ものの見事に解消された。

急性期充実体制加算の新設は、全国の自称急性期病院に混乱と競争をもたらし、病院内の改革を緊急にやり遂げなければならない状況に陥れ、4月から必死の病院が目立っている。当然病院の機能としては、どのような特殊な治療が可能か、またその治療実績、各科の手術件数や地域貢献度など、正に地域における病院の存在感と信頼度を自他ともに評価する病院基準を明示すべきである。

今までは、看護職員数が7対1、10対1、さらには5対1など、各看護職員数の数だけで、技術や知識を一切問わないという、病院の病棟機能基準としては猛烈な違和感を世の中の医師は持っていただろう。医療の主体である医師のレベルと手術や難しい医療技術の必要な治療を実施しているか、といった病院機能はほとんど無視され、看護職員の数だけで病棟機能が決定されていた。私は看護職員の数さえいれば病院機能の大半が決定され、高額報酬が約束されるなんて、学問的、技術的医療の場に対する違和感をずっと持ち続けていたが、今回の改定は、その違和感を見事に打ち崩してくれた。

今まで病院でありながら医師の能力の集中に対しての報酬でなく、単なる看護職員の数だけで病棟機能の評価を今の今まで継続してきた理由は何なのだろう。今回の改定を契機に病院とは医学と医術の集中であり、そのレベルと多寡により、病院が評価されるという、ごくまっとうな時代に成長してくれることを望みたい。

さらに大きく評価したいことは総合入院体制加算の病院だけでなく、この新設された急性期充実体制加算算定病院に精神疾患と異常分娩への対応や、地域における感染症対策の中心的役割を担うことが求められ、新興感染症の発生時には感染症患者を受け入れなければならない感染対策向上加算1の届出を要請したことであろう。要するに地域住民のあらゆる病状や急変に対して、ここで受け入れて対応できるという病院を地域に配置し、地域住民を安心させるという見事な改定であった。これからの日本の病院は、医療技術を中心に評価される。当然の姿に変貌してゆくことだろう。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[診療報酬改定][急性期充実体制加算]

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