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【識者の眼】「低用量ピルと黄体ホルモン剤が安くなりました」柴田綾子

No.5130 (2022年08月20日発行) P.67

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科医長)

登録日: 2022-08-01

最終更新日: 2022-08-01

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日本の低用量ピルには、自費の避妊用ピル(OC)と保険適用の月経困難症治療用ピル(LEP)の2種類があります(注)。最近、月経困難症に使用できる2つの薬に後発品が発売されたのでご紹介します。

1. 低用量ピル

2022年6月にLEPのヤーズ® のジェネリック(ドロエチ® )が発売されました。これにより、ドロスピレノン含有の低用量ピルが半額近くに安くなりました。

〈価格〉
・先発品:ヤーズ® 1シート薬価  6328.5円 (3割 1898.55円)
・後発品:ドロエチ® 1シート薬価 2882.3円 (3割 864.69円)

ドロスピレノン含有の低用量ピルは、アンドロゲン活性が少ないため浮腫が起こりにくく、ニキビや肌荒れへの副効用が期待できることや、月経前不快気分症候群(PMDD)の症状を改善する効果が報告されています。ただし、120日間の連続投与によって月経回数を減らせるヤーズフレックス®には後発品がありません。後発品のドロエチ®は毎月消退出血を起こす周期性投与が原則になります。

2. ジエノゲスト(黄体ホルモン剤)

血栓症のリスクがあり低用量ピルが内服できない方では、黄体ホルモン単剤のジエノゲスト(ディナゲスト®)が使用できます。2022年6月に0.5mg錠に後発品が販売されました。

ディナゲスト®は1日2回内服が必要で、1mg錠は子宮内膜症や子宮腺筋症による月経痛に、0.5mg錠は月経困難症に適応があります。

〈価格〉
・先発品:ジエノゲスト1mg  1錠221.6円 30日分1万3296円(3割3988.8円)
・先発品:ジエノゲスト0.5mg 1錠144.9円 30日分8694円   (3割2608.2円)
・後発品:ジエノゲスト1mg  1錠87.9円 30日分5274円  (3割1582.2円)
・後発品:ジエノゲスト0.5mg 1錠57.5円 30日分3450円  (3割1035円)

後発品が発売され価格が安くなったことで、月経困難症の治療を受けやすくなるのでは、と思います。この機会にぜひ産婦人科への受診をご提案ください。

*本発表に開示すべきCOI(利益相反関係)はありません。

注:OC、oral contraceptive

注:LEP、low dose estrogen-progestin

柴田綾子(淀川キリスト教病院産婦人科医長)[月経困難症]

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