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【識者の眼】「かかりつけ歯科医機能強化型診療所の今後」槻木恵一

No.5129 (2022年08月13日発行) P.62

槻木恵一 (神奈川歯科大学副学長)

登録日: 2022-08-04

最終更新日: 2022-08-04

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2016年に「かかりつけ歯科医機能強化型診療所(か強診)」という制度が導入された。これは国の方針として、「かかりつけ医療機関」を軸とした地域医療の展開の強化という一連の政策の中で出てきたものである。か強診は、治療中心型から治療・管理・連携型の歯科医療へのシフトをめざしており、管理(予防)が含まれたことはきわめて重要な提案だと思う。

また「連携」の役割については、地域の中で病院や介護施設、在宅医療などへの歯科医療の提供と連携が求められている。か強診の認定を受けた歯科医院は、地域歯科医療のセンター的役割も担うことが期待されているのだと思われる。このような点で、か強診の認定基準には多くのハードルがあり、厚生労働省から認定された歯科医院は、日本歯科総合研究機構の2020年12月時点でのデータにおいて、全国歯科医院数の約15%程度に留まっている。

か強診の認定を受けた歯科医院は、歯科予防処置が健康保険の給付対象となるというメリットがある。これまで自費診療であった予防処置が健康保険で実現するので、う蝕や歯周病という予防が効果的な病変では、きわめて理にかなった医療展開が実現できる。しかし、その理想的な医療展開が、か強診として認められた一部の診療所のメリットに限定されるのは問題ではないだろうか。

この理想的な予防管理型歯科医療は、国民全体が等しく受診できるべきである。そのためには、治療・管理・連携型を「治療・管理型」と、認定基準のハードルを高めている「連携型」に分け、地域のセンター的機能を備えることができる歯科医院を連携型として別の制度をつくり直したほうが良いのではないだろうか。そして、「治療・管理型」は、すべての歯科医院での導入をめざすべきである。

槻木恵一(神奈川歯科大学副学長)[歯科予防処置]

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