厚生労働省は2022年8月1日付で、がん診療連携拠点病院等の整備指針を改定し、健康局長名で都道府県知事に通知した。指定要件を満たせなくなった病院が対象の「特例型」を都道府県がん診療連携拠点病院や地域がん診療病院などでも新設することや、地域がん診療連携拠点病院の「高度型」を廃止することなどが、見直しの主な内容。施行は同日からで、新指針に基づく拠点病院などの指定は23年4月となる見通しだ。
地域がん診療連携拠点病院(地域拠点病院)の「高度型」は、必須要件に加えて望ましい要件を複数満たす、高い診療機能を備えた施設を対象とした類型。全国に55カ所が整備されているが、現行の指定要件に対しては、▶定義が不明確なために地域によって指定推薦の積極性に差があり、結果として地域偏在が生じている、▶患者に与える印象と診療機能の実態が異なる―などの指摘があった。
このため新指針では望ましい要件のうち、次回の指針改定時に要件化を目指すものを明示。今後、これらの要件をすべての拠点病院等に普及・浸透させるための取り組みを進めることを前提に、「高度型」は廃止する。既存の高度型施設は指定の有効期間中に限り、「高度型」として指定を受けているものと見なす経過措置を設ける。
一方、これまで地域拠点病院だけの類型であった「特例型」は、都道府県がん診療連携拠点病院、特定領域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院にも新設する。地域拠点病院における取り扱いと同様、要件を満たせなくなった施設を経過措置的に「特例型」に指定。指定期間は1年間とし、その間に要件を充足できた場合は一般型への復帰が可能だが、1年経過後も要件未充足が続いている場合は指定の更新を行わない。
要件を満たせない施設に対する対応全般の整理・明確化も図った。充足できない要件に応じて、(1)医療安全上の重大な疑義、意図的な虚偽申告等/指定の取消し、(2)速やかに改善を求めることが妥当なもの/勧告(1年未満の期間を指定し、指定期間終了後も改善されない場合は指定を取り消す)、(3)原則として前出の(1)、(2)に該当しない場合/特例型に指定―と定めた。なお、小児がん拠点病院等や、がんゲノム医療中核拠点病院等の整備指針も同日付で改定、施行された。