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■NEWS 地域の病院機能維持のため宿直義務規制の緩和を―規制改革推進会議答申

登録日: 2025-06-04

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政府の規制改革推進会議は528日、「規制改革推進に関する答申」をまとめた。医療関連では医師不足対策の一環として医師の宿直義務規制を緩和し、1人の医師がICT技術等を活用して複数病院の宿直を遠隔で兼務できるようにする案を盛り込んだ。答申の内容は政府が6月中に閣議決定する「規制改革実施計画」に反映される。

医療法では病院管理者の義務として宿直医師の配置を求めているが、宿直医師が確保できないことを理由に診療体制を縮小せざるを得ない病院が一部あるほか、慢性期医療中心で夜間の診療需要が少ない病院に対しても一律に宿直医師による常時対応を課すことを疑問視する意見もあった。

現行制度でも義務化の例外として、医師が病院に隣接した場所に待機している場合や、入院患者の病状急変時に当該病院の医師が速やかに診療を行う体制が確保されていると都道府県知事が認める場合は宿直医師を置かなくてもよいとする規定(医療法施行規則)がある。さらに医師が速やかに駆けつけられない場合は電話等で指示できれば差し支えないとする取り扱いが施行通知で示されているものの、電話以外の情報通信機器を用いた対応や兼務の可否に関しての記載はない。

そこで答申はまず施行通知における例外規定の取り扱いについて、電話以外の情報通信機器を用いた対応も含まれることを明確化し、周知することを要求した(2025年度中に措置)。

ICTの活用により遠隔での複数病院の宿直兼務を可能に

宿直義務規制については、①入院患者の特性等により宿直医師が常に対応を求められる状況にはない、②集中治療や手術等が必要になった場合の緊急時対応について高度救急医療機関との協力体制が確保されている、③宿直医師確保のために診療体制を縮小するなどの影響が出ている―などの場合を対象に緩和することを求めた。具体的には、例外規定の都道府県知事が速やかに診療を行う体制が確保されていると認める場合について、電話以外の情報通信機器を用いた対応やカルテ情報の共有等のICT技術を活用することで複数病院の宿直対応を遠隔かつ兼務で行うことが可能になる要件等の検討を25年度上期に開始。遅くとも27年度中に結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずるとした。

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