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■NEWS 経済・物価動向等の影響による社会保障関係費の伸びを容認―骨太方針2025

No.5278 (2025年06月21日発行) P.71

登録日: 2025-06-16

最終更新日: 2025-06-16

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政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針2025)を閣議決定した。社会保障関係費ではこれまでの高齢化の影響による増加分だけでなく、経済・物価動向等への対応による伸びも容認する方針を明確に打ち出した。原案にはなかった新たな地域医療構想に向けた病床削減を追記したほか、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し、地域フォーミュラリの全国展開―などの施策をより前面に押し出した。

社会保障関係費については政府方針として、伸びの範囲を高齢化による増加分に抑制する対応が図られてきた。予算編成における考え方として骨太の方針2025は、「これまでの改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、25年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げにつながるよう、的確な対応を行う」と明記、基本方針を転換した。具体策としては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向も踏まえた対応に相当する増加分を加算する」とした。

現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を目標に、(1)OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し、(2)地域フォーミュラリの全国展開、(3)新たな地域医療構想に向けた病床削減、(4)現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底―などに取り組む方針も明示。25年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期実現が可能なものは26年度から実行するとした。

新たな地域医療構想までに人口減少等で不要になる病床を削減

(3)は自民党・公明党・日本維新の会の3党合意に基づくもので、「人口減少等により不要になると推定される一般病床・療養病床・精神病床といった病床について、地域の実情を踏まえた調査を行った上で、2年後の新たな地域医療構想に向けて、不可逆的な措置を講じつつ、調査を踏まえて次の地域医療構想までに削減を図る」と記載。(4)は、医療・介護保険における負担への金融所得の反映について、具体的な制度設計を進める方針を示した。

各論では、①医療機関、介護施設、障害福祉サービス等事業者の経営情報のさらなる見える化、②かかりつけ医機能の発揮される制度整備、③リフィル処方箋の普及・定着、④保険外併用療養費制度の対象範囲拡大、⑤薬剤自己負担の見直し―などを盛り込んだ。

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