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【識者の眼】「医療介護支援専門員(メディカルケアマネジャー)の資格創設を」武久洋三

No.5144 (2022年11月26日発行) P.62

武久洋三 (医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)

登録日: 2022-09-08

最終更新日: 2022-09-08

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ケアマネジャー(以下、ケアマネ)は1998年10月に4回の選考試験が行われ、59万3085人が受験し、23万5764人が合格した。以後、22年間で合格者は約72万9000人となったが、現在実際に業務を行っているのはわずかである。また、介護保険制度が始まった2000年当初は、医師、看護師をはじめとする医療系職種が多かったものの、現在は少なく、約70%は介護福祉士や社会福祉士など介護福祉系職種が実務を行っている。

現在の主な実務内容は、要介護者がいかように各種の介護サービスを組み合わせて週間予定表を立てるかを援助し、市役所等への報告など、正に要介護者のコーディネーターとして活躍している。また、特養など介護保険施設ではケアマネは必置となっていて、入所者のケアマネジメントを行い、施設生活を支援する役目を担っている。

一方、医療のほうは、ほとんどの病院に地域連携部があり、社会福祉士と看護師が中心となって入退院の調整を行っている。入院患者の高齢化が進み、急性期病院でも70〜80%の患者が高齢者である。ほとんどの入院患者は介護保険の被保険者であり、既に介護保険サービスを受けている患者もどんどん増えている。患者が医療と介護の間を行ったり来たりしている状況でコーディネーターが変わるより、むしろ医療と介護をひっくるめてフォローする形が理想的ではないか。たとえば、介護のケアマネに対して、医療と介護の”メディカルケアマネジャー”なる職種が一人の患者のコーディネートすれば、スムーズにいくのではないかと考えるのは私一人ではないだろう。

日本で医療の中から正式に介護部門が独立したのが2000年である。その後20年以上経過し、高齢化により激変した。これからは増大する医療費、介護費の効率化を考えても、一人の高齢者が病気になり介護が必要な状態になった時から、医療と介護が一体となったコーディネーターが必要となってくるのは当然である。この際、現在実務を行っているケアマネに一定の研修を受講してもらって、医療介護支援専門員(メディカルケアマネジャー)の資格を与える制度を創り、医療と介護の必要な高齢者が効率よく医療・介護サービスを受けられるようにすることが、トータルで医療と介護に掛かる経費の効率化にも資するものではないかと考えている。厚生労働省の方も関係職種の方も一度考えてみてはいかがであろうか。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[医療・介護サービス]

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