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【識者の眼】「病棟の夜勤看護師を助けてあげてくれませんか」武久洋三

No.5136 (2022年10月01日発行) P.62

武久洋三 (医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)

登録日: 2022-09-09

最終更新日: 2022-09-08

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病院の入院患者さんの中で高齢者がものすごい勢いで増えています。一方、2006年に看護師を多く配置した7:1一般病棟ができて以来、看護師の病棟配置人数の基準は16年間増えていません。この16年の間に入院高齢者の割合は約30%増えているのです。

高齢者は夜中にトイレに行きます。また普段自宅で1人で寝ている高齢者が入院すると、病室は4〜6人部屋になるため、よく眠れなくて不安定になったり、認知症の患者さんも増えています。特に夜が問題になります。夜勤の看護師はとても大変です。看護師の病棟配置数は16年間増えていないにもかかわらず、手間のかかる高齢患者がものすごい勢いで増えているのです。夜勤の看護師は、トイレに行く患者に付き添ってあげたいと思っても、そんな方が入院患者の半分もいたらとても対応できません。何とかしてあげられないでしょうか。

夜勤の看護師はほとんどの病棟が2人です。3人いるのは稀です。病棟における看護師配置は7:1一般病棟が一番多いのですが、それでも高齢患者の増加により病棟看護師はパンクしそうです。看護業務よりも、入院患者の高齢化によって介護業務がものすごく増加しているのです。高齢者が夜中トイレに行かないように、また認知症の人に対して、膀胱にバルーンカテーテルを入れたりオムツをしていることも報告されています。こうして寝たきり患者がつくられているのです。

このような事態に陥っているのは、入院患者の変化に病棟現場での法整備がついていけていないからです。病院では介護福祉士という国家資格者を「看護補助者」と呼んでいるため、喜んで病院で勤務したいという介護福祉士が極端に減っています。病棟に介護福祉士やリハビリ療法士の夜間配置を認めて、何とか病棟看護師を助けてあげてくれませんか。そうすれば急性期病棟における寝たきり患者の発生リスクを減少させることができます。その結果、要介護者も減少し、介護給付費の大幅な上昇も改善できるでしょう。

今の今、改善しないと病棟の看護師も可哀そうです。そして何よりも寝たきりになる患者が可哀そうです。要介護者が増えすぎてパンクしそうな医療・介護制度をどうにかしなければこれからの日本の医療・介護は真っ暗です。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[看護師の病棟配置数][介護福祉士]

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