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【識者の眼】「コロナ後遺症の治療に漢方は最良の納得解となる」新見正則

No.5136 (2022年10月01日発行) P.56

新見正則 (オックスフォード大学医学博士、新見正則医院院長)

登録日: 2022-09-21

最終更新日: 2022-09-21

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ロシアの専門家と称する人が口を揃えて、「ロシアがウクライナを侵略するとは予想外であった」と語っています。専門家も理解できないことが起こる世の中なのです。致死率の高い感染症が流行するといったバイオハザード(微生物災害)を描いた映画が存在し、そしてそんな危機の襲来を予想していた専門家は多数存在しましたが、今回の新型コロナウイルスのような中途半端な感染症が世界中を席捲し、そして経済成長をダウンさせると予想できた専門家はごく少数でした。実際に新型コロナウイルスが世に登場し、そしてボツボツと猛威を振るい出した頃でさえ、これほどの大災害となるとはほとんど予想できませんでした。教科書には存在しないストーリーが登場しています。

僕達は、小学校、中学校、高等学校と正解を求めて勉強をしてきました。大学受験も、医学部の勉強も、そして医師国家試験も正解を導き出す訓練でした。そして、医師になってからも、ガイドラインに従い、それを正しいと信じて、治療を行ってきました。正解がある世界を生きてきたのです。

医療の正解はランダム化された大規模臨床試験によって確立されると思っています。1000例を超える規模が必要と思っています。そんな大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかなエビデンスがあることになります。そんな明らかなエビデンスがない治療が漢方でした。過去の経験から、それもサイエンスが登場する前から経験知を積み上げてきたものが漢方です。

明らかなエビデンスがある西洋医学的治療が存在すれば、そちらが漢方よりも優先されることは当然です。ところが、新型コロナウイルス感染後遺症(コロナ後遺症)には、正解がまだありません。正解を出す時間的余裕がないのです。

そして、コロナ後遺症の患者は激増しています。コロナ感染による症状が軽くても、または不顕性感染でもコロナ後遺症となることも多数経験しています。新型コロナワクチンの接種でもコロナ後遺症と同様の症状が現れることがあります。

そんな正解がない時代は、今使用可能な治療で対応するしかありません。コロナ後遺症に効果的な可能性がある保険適用の治療は「漢方薬」と「Bスポット治療(上咽頭擦過療法)」です。明日から保険診療で利用可能な漢方薬を使って、激増しているコロナ後遺症の納得解を一緒に探しましょう。

新見正則(オックスフォード大学医学博士、新見正則医院院長)[正解のないときは納得解を求めよう!①]

■本シリーズの記事
# 正解のないときは納得解を求めよう!①
コロナ後遺症の治療に漢方は最良の納得解となる
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=20448

# 正解のないときは納得解を求めよう!②
コロナ後遺症の治療時には性善説に立とう
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=20449

# 正解のないときは納得解を求めよう!③
コロナ後遺症の限界例にはフアイア加味方で
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=20450


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