厚生労働省は10月7日の「第8次医療計画等に関する検討会」に、二次医療圏の設定や基準病床数の算定についての論点を提示した。大筋で了承が得られたが、基準病床数では、算定式に用いる一般病床の地方ブロック別の平均在院日数について、地域差の縮減効果がより高まる仕組みへの変更を打ち出した厚労省案に対して、賛否両論が示された。
二次医療圏の設定では、①二次医療圏を見直す基準、②隣接する都道府県の区域を含めた二次医療圏の設定、③二次医療圏と他の計画・圏域との関係―などが主な検討課題となっている。
第7次医療計画では、二次医療圏の見直し基準を「人口規模が20万人未満であり、かつ流入患者割合が20%未満、流出患者割合が20%以上」としていたが、基準に該当しても見直しが行われなかったケースも存在。その理由では、地理的条件や交通アクセスが最も多かった。こうした地域の事情を考慮し、①では、見直し基準を現行のまま据え置き、基準に該当しても医療圏の見直しを行わない場合は、その考え方を医療計画に明記することを引き続き、都道府県に求める案を示した。
また、二次医療圏は医師確保計画などの基本区域単位でもあり、その見直しは医師偏在指標の算出などにも大きく影響する。このため③では、次期医療計画の策定時にはまず二次医療圏の設定を優先的に議論し、その検討状況を先んじて国に報告するよう、都道府県に求めることを提案。国も報告に基づく医師偏在指標の再算出等を追加で行うとした。
基準病床数の関係では、一般病床の基準病床数算定に用いる地方ブロック別の平均在院日数の取り扱いが争点となった。地域差を是正する狙いから、現行ルールでは、全国値よりも平均在院日数が長い地方ブロックについては、短縮効果を高める短縮率を乗じた値が用いられているが、十分な成果が上がっているとは言い難いのが現状。対応策として厚労省は、地域差をより縮減できる仕組みへの変更を提案し、保険者の構成員は賛同したが、医療提供側の構成員は反対姿勢を表明。一般病床には回復期リハビリテーション病床や、地域包括ケア病床など多様な機能を担う病床が含まれており、一律に平均在院日数の短縮を求めるのは適切ではないと主張した。