厚生労働省は10月12日、医師確保計画における目標医師数の設定についての具体案を「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」に提示した。医師多数・中程度区域の目標医師数に上限を設けることや、都道府県の目標医師数が計画開始時点の医師数を超えることがないよう、二次医療圏間での調整を促す仕組みを導入することを提案した。
二次医療圏の目標医師数の設定を巡っては、①医師少数区域のうち、人口減少に伴って医療需要が減少する区域では目標医師数が計画開始時点の医師数を下回ってしまい、医師を増員できない、②医師多数区域と中程度区域は都道府県が独自に設定できることから医師数を増加させる目標設定もあり、医師少数区域における医師確保の妨げになっている―などの問題が指摘されていた。
①のような事態が発生するのは、医師少数区域の基準値(医師偏在指標の下位33.3%)に達する医師数を目標医師数とするよう定めている現行ルールが原因。このため厚労省は、医師少数区域においては「計画開始時点の医師数」と「計画終了時点で現在の医師偏在指標の下位1/3に達するのに必要な医師数」を比較し、多いほうを上限として目標医師数を設定する改善案を提示した。これにより、現行では医師数を増やせない区域でも、計画開始時点の医師数を超えない範囲で医師増員が可能になる。
②の医師多数区域と中程度区域に該当する二次医療圏については、「計画開始時点の医師数」と国が参考として新たに示す「計画終了時点において計画開始時点の医師偏在指標を維持するための医師数」を比べ、多いほうを設定上限数として目標医師数を設定。さらに二次医療圏の設定上限数の積み上げが都道府県の計画開始時点の医師数を上回る場合は、これを超えないように調整し、各二次医療圏の目標医師数を設定することを提案した。
いずれの案も大筋で了承されたが、②の二次医療圏間の調整に関しては、大学病院のある医師多数区域から医師を強制的に移すことになれば専門医療の提供に支障が出る恐れがあると危惧する声もあった。これに厚労省は、「多い所から削るという意味ではなく、医師多数区域ではこれ以上医師を多く確保しないでほしいという趣旨だ」と説明し、理解を求めた。