厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」は10月26日、医療計画に記載する5事業について、同省が提示した見直し案を大筋で了承した。救急医療では、二次救急医療機関の主な役割を高齢者救急の初期診療と入院治療と定義。患者の意に沿わない治療が行われることがないように、地域の救急医療や消防の関係者らが協力して心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針を検討することなどを盛り込んだ。
救急医療では、高齢者の救急搬送が今後増加することを見込み、救急医療機関の役割を明確化。具体的には、▶初期救急医療機関は主に独歩で来院する自覚症状が軽い患者への夜間・休日の外来診療を担う、▶二次救急医療機関は地域で発生する高齢者救急の初期診療と入院治療を主に担う、▶三次救急医療機関は重篤患者に対する高度な専門的医療を総合的に実施することを基本としつつ、複数診療科の介入を要する症例や診断が難しい症例など、他の医療機関では治療の継続が困難な救急患者の診療を担う―こととする。
地域の救急医療の基幹となる高度救命救急センター等の強化も図る。平時から重症外傷等の特に高度で専門的な知識や技術を要する患者への対応が可能な医師・看護師等の人材育成・配置、院内の体制整備を行い、地域における重篤患者を集中的に受け入れる施設に位置づける。
都道府県が医療計画のPDCAサイクルを回すための指標例も、これらを反映させた見直しを実施。三次救急医療の指標例に「救命救急センターの応需率」と「外傷外科医等養成研修事業を修了した医師・看護師数」を追加する。
高齢者の意思に沿った救急医療の提供が可能になるよう、救急医療の関係者や地域包括ケアシステムの関係者、消防関係者といった地域の関係者が協力して、救急現場における心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針等を検討することも新たに求める。その達成状況は、「心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針を定めている消防本部の割合」を指標として評価する。
小児医療では、混在が問題視されていた小児医療圏と小児救急医療圏を、周産期医療圏との連携のもと一本化する。その際には、小児救急患者を常時診療可能な体制がとれるよう留意することを求める。