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■NEWS 原価率上昇による医薬品の供給不安再発を懸念―薬価専門部会で各側委員

No.5143 (2022年11月19日発行) P.71

登録日: 2022-11-11

最終更新日: 2022-11-11

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中央社会保険医療協議会薬価専門部会は119日、厚生労働省医政局の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」における議論の状況について報告を受けた。検討会の論点の大半は2024年度の通常年の薬価改定に関する事項で、部会の主要テーマである23年度の中間年改定に直接関連する事項は少なかったが、昨今の物価高騰や円安に伴う医薬品製造コストの上昇への対応を求める意見には、部会でも検討する必要があるとの認識で概ね一致した。

検討会は、医療経済、薬価制度、流通実態、産業構造、医療経営などに詳しい有識者で構成される。10月の会合では(1)革新的な医薬品の迅速な導入、(2)医薬品の安定供給、(3)薬価差―の3項目について論点を整理。今後は論点に沿った議論を深め、23年4月を目途に意見の取りまとめを行う予定となっている。

このうち(2)では、物価高騰による製造コストの上昇などを踏まえ、医療上必要な医薬品の安定供給を確保するための対応などを検討。これまでの議論では、特に製造原価率が高い製品について短期的な対応を考える必要があるとの意見も出ていた。

診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会理事)は、物価高騰による製造コストの上昇について、「しばらく続くことが予想され、安定供給にさらなる支障が出ることが懸念される。23年度改定を実施する場合には何らかの配慮が必要だ」と指摘。支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も、「何らかの形で短期的な財政措置なりを行う必要がある」と同様の見解を示した。松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、部会の検討課題とすること自体に異論は唱えなかったものの、「薬価で物価高に配慮することになれば、ただでさえ病気で出費がかさむ患者が(中間年改定による)負担軽減の恩恵を受けにくくなることを指摘したい」と苦言を呈した。

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