厚生労働省は8月31日、介護保険の被保険者の範囲を現行の「40歳以上」から拡大し、若年成人にも負担を求めるかを社会保障審議会介護保険部会で論点に示した。委員からは慎重な検討を求める声が相次いだ。
介護保険の保険料負担者である40歳以上の人口は2021年をピークに減少すると見込まれる。被保険者の範囲についてはこれまで、要介護の理由や年齢にかかわらず介護が必要な全員にサービスを給付し、併せて保険料を負担する年齢層を拡大する「制度の普遍化」を目指すか、「高齢者の介護保険」を維持するかを中心に議論が行われてきた経緯がある。
31日の会合では「被保険者の拡大は中長期的には避けられないが、現時点では時期尚早だ」(日本医師会・鈴木邦彦委員)など、慎重な意見が相次いだ。被保険者の範囲を40歳未満に広げる場合、障害者福祉サービスとの整理も必要になることから、介護保険部会のみでは議論できないとの指摘もなされた。