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■NEWS 高額療養費制度の専門委が初会合、患者団体から意見を聴取

登録日: 2025-05-31

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厚生労働省の「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」は5月26日に初会合を開き、患者団体の委員から意見を聞いた。患者団体は、多数回該当によって自己負担が軽減されている長期療養者が見直しで大幅な負担増を強いられることのないよう、特段の配慮を求めた。

専門委員会は昨年末に決定した高額療養費制度の見直し案が凍結されたことを受け、改めて制度の在り方を議論する場として発足した。今秋に結論をまとめる予定。

高額療養費の多数回該当は、同一世帯で直近12カ月間に高額療養費が支給された月が3月以上になると、4カ月目から自己負担が減額される仕組み。例えば年収約370〜約770万円の標準的な所得区分の場合、3カ月目までの自己負担上限額は「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」だが、4カ月目以降は定額の4万4400円に軽減される。

初会合のヒアリングで天野慎介委員(全国がん患者団体連合会理事長)は、高額療養費の自己負担上限額が引き上げられると、それまで多数回該当の対象だった患者が対象から外れ、自己負担が急増する恐れがあると指摘。「患者負担に年間上限を設けることを含め、負担の軽減と影響を緩和する取り扱いについて特段の配慮をお願いしたい」と要望した。

大黒宏司委員(日本難病・疾病団体協議会代表理事)は、指定難病患者の多くが高額療養費制度を利用していると説明した上で、負担増による受診控えの発生に強い危機感を表明。「医療費負担を考慮して最適な医療を離れたことで起きる重症化や障害の発生は不可逆的であり、元に戻せない可能性がある。そこまでの危険性がある見直しを今行うべきなのかを考える必要がある」と訴えた。

■医療保険制度全体の見直しと一体的に議論すべきとの声も

議論では多数回該当について、一般的な疾患と生涯付き合っていく必要がある疾患の取り扱いを一括りにしている点に問題があるのではないかとの意見や、高額療養費制度単体ではなく医療保険制度全体の見直しと一体的に議論を進めていくべきといった意見が示された。委員会は次回も関係者からのヒアリングを行う。

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