政府は6月6日の経済財政諮問会議に、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針2025)の原案を提示した。原案は社会保障関係費のいわゆる自然増について、これまでの高齢化や医療の高度化による増加分だけでなく、経済・物価動向を踏まえた経営安定化や賃上げ対策等による増加分も含める新しい考えを打ち出した。
原案は、物価上昇を上回る賃金上げの普及・定着を成長型経済実現の目標に掲げ、医療・介護人材の確保については、「保険料負担の抑制努力を継続しつつ、公定価格の引上げを始めとする処遇改善を進める」と記載した。
社会保障分野の取り組み方針では、医療・介護、障害福祉等の分野の公定価格の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保の実現に向け、「次期報酬改定を始めとした必要な対応策について、25年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等を踏まえながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と明記。その際には、「高齢化や高度化等による増加分に、こうした経済・物価動向等を踏まえた対応による増加分を加えた、いわゆる自然増から、これまでの歳出改革努力を継続する」との姿勢を示した。
各論では、①特定行為研修修了看護師の活用やタスクシフト/シェアなどによる医療・介護・障害福祉分野の生産性向上・省力化の実現、②医療機関、介護施設等の経営情報のさらなる見える化、③かかりつけ医機能の発揮される制度整備、④適切なオンライン診療の推進、⑤リフィル処方箋の普及・定着、⑥薬剤負担の見直しの検討、⑦地域フォーミュラリの普及―などを盛り込んだ。
新たな地域医療構想については、医療機関機能・病床機能の明確化や国・都道府県・市区町村の役割分担などに関するガイドラインを国が25年度中に策定すると明記。医師の偏在対策は、総合的な対策パッケージを順次実施して効果検証を行うとともに、医師の適正配置のための支援のあり方について25年末までに検討を行うとした。
今週中にも正式決定する骨太方針には、人口減少等で不要になる病床、約11万床の削減など自民・公明・日本維新の会の3党合意の内容が追記される見通し。