中央社会保険医療協議会は12月21日、総会を開き、2023年度薬価改定の骨子を了承した。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)の対象品目に特例的に上乗せする額は、改定前薬価と新薬創出等加算適用後の価格との差額の95%に決定した。今回の薬価改定による薬価の削減効果は3100億円、このうち国費の削減額は722億円となる見込み。
23年度改定の対象範囲は、国民負担軽減の観点から、平均乖離率(7.0%)の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目とする。既収載品目の算定ルールは、21年度改定と同じく、▶基礎的医薬品の薬価維持、▶最低薬価の維持、▶新薬創出等加算の加算、▶後発医薬品等の価格帯集約―に加え、既収載品の外国平均価格調整を適用する。これら以外の実勢価改定に連動しない既収載品目の算定ルールについて骨子は、「評価に一定の時間を要することなどから、令和5年度(23年度)改定において適用しない」と明記した。
イノベーションへの配慮と医薬品の安定供給確保を目的とした2つの臨時・特例的措置も実施。前者では新薬創出等加算の対象品目のうち、企業要件や乖離率によって薬価が下がる品目について、通常の算定方式に基づいて新薬創出等加算を適用した後、改定前薬価と当該加算適用後の価格の差に相当する額の95%を上乗せすることで、薬価の引き下げを緩和する。
後者では、厚生労働省の調査で急激な原材料費の高騰により不採算になっていることが判明した1100品目すべてに不採算品再算定を適用し、薬価を引き上げる。不採算品再算定には、「成分規格が同一の類似薬の全てが不採算に該当する場合に限る」との適用を制限するルールが設けられているが、今回の改定に限ってこのルールを外す。
厚労省の試算によると、骨子に基づいて23年度改定を行った場合の薬剤費への影響額は全体として3100億円の減少。カテゴリ別の内訳は、▶新薬・780億円減(うち新薬創出等加算対象品目・10億円減)、▶長期収載品・1240億円減、▶後発医薬品・1210億円減、▶その他品目(1967年以前に収載された医薬品)・130億円増―になるという。