社会保障審議会医療部会は12月28日、「医療提供体制の改革に関する意見」をまとめ、公表した。「かかりつけ医機能報告制度」の創設や2040年頃までを見据えた新たな地域医療構想の策定などを盛り込んだ。これを受けて厚生労働省は法改正が必要な事項を整理。今月下旬に開催される通常国会への医療法改正案提出を目指す。
意見は、40年頃まで増加し続ける高齢者を支えるため、かかりつけ医機能を担う医療機関を中心とした医療・介護の「水平的連携」を推進し、「地域完結型」の医療・介護提供体制を構築することを宣言。その実現に向けた施策の柱に「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」と「医療法人制度の見直し」を据えた。
前者ではまず、「かかりつけ医機能」の定義を、現行省令の「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う医療機関の機能」との記載内容を踏まえて法定化。その上で、(1)医療機能情報提供制度の刷新、(2)かかりつけ医機能報告制度の創設―に取り組む。
(1)では国民・患者が「かかりつけ医」を探す助けになるよう、医療機能情報提供制度の「かかりつけ医機能」に関する情報提供項目をわかりやすい内容に改める。このため、医療機関に関する情報について全国統一のシステムを導入するとともに、情報提供項目の見直しを行う。
意見では、情報提供のイメージとして、▶対象者の別(高齢者、障害者、子どもなど)、▶日常的にある疾患への幅広い対応、▶医療機関の医師がかかりつけ医機能に関して受講した研修など、▶入退院時の支援など他の医療機関との連携の具体的内容、▶休日・夜間の対応を含めた在宅医療や介護との連携の具体的内容―が挙げられている。
(2)では医療機関が自院の担う、あるいは担う意向がある「かかりつけ医機能」を都道府県に報告する「かかりつけ医機能報告制度」を創設。都道府県はその結果を踏まえ、地域の協議の場で不足する機能を確認するとともに、不足を補う具体的方策を検討して地域全体の「かかりつけ医機能」の充実・強化を図る。25年度を目途に個々の医療機関からの機能報告を受け、地域の協議の場での議論を開始。第8次医療計画の中間見直し(27年度)のタイミングで、決定した具体的方策を医療計画に反映させる。
こうした取り組みを後押しするため、厚生労働省に対しても支援策の検討を求めている。具体的には、▶研修の標準的な基準の設定と受講の促進、▶医療DXの推進、▶かかりつけ医機能の診療報酬による適切な評価―などとなっている。
医療法人制度の見直しでは、▶医療法人の経営情報のデータベース構築、▶地域医療連携推進法人に個人立医療機関の参加が可能な類型を新設―などを実施する。
一方、現行の地域医療構想は25年の実現に向け、22・23年度に民間を含む各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを実施。これと並行して、40年頃までを視野に入れた新たな地域医療構想の策定についての検討も進めるとしている。