新型コロナウイルス感染症の類型変更に伴い、政府の対策本部が10日に医療提供体制、公費支援の見直しを決定したことを受け、日本医師会の松本吉郎会長は15日の定例会見で見解を発表した。診療報酬特例の見直しについては、「一部点数や金額は見直されたものの、診療報酬上の多くの特例は継続されることになった。さらに入院調整や地域包括ケア病棟での高齢者の受け入れを診療報酬に位置づけるなど、新たな取り組みも示されており、日医として評価している」と述べ、評価する姿勢を示した。
9月までの患者の受け入れ体制や入院調整などの対応を定める移行計画を都道府県が4月中に策定するとされた点にも触れ、「非常にタイトなスケジュール。時間が限られた中で、各都道府県行政には都道府県医師会や病院団体など関係者との協議・連携をしっかりお願いしたい。特に、高齢者施設でのクラスター対応や感染拡大時のリスクの高い患者の入院調整には十分な配慮が必要」と述べた。
松本会長はこのほか、マスク着用が個人の判断に委ねられることになったものの、医療機関の受診時や訪問時などでは着用が推奨されると位置付けられたことを受け、ポスターを作成したことを紹介。10日から日医ホームページに掲載したとして、活用を呼びかけた。
会見では長島公之常任理事も今回の診療報酬の見直しについて触れ、改めてその内容を評価。その上で、特例を継続する期間については、「急激な見直しによってこれまで診療してきた医療機関の対応力が損なわれることがあってはならず、今後の感染状況や地域医療の提供を見定めつつ慎重に判断すべき」と強調した。
このほか会見では釜萢敏常任理事が新型コロナウイルス感染症の今後の流行状況についてコメント。「新規感染者数は下がってきており、(この傾向は)もうしばらくは続く見通しだ」としつつ、今後の状況を予測する上で、献血者の検体を使った抗N抗体の推移と、変異株のうちXBB.1.5の動向に注目していると説明した。