2022年度の病床機能報告の結果(速報値)によると、地域医療構想の目標年である25年の総病床数が、医療需要から推計した病床の必要量(119.1万床)と同水準の119.0万床となる見通しであることがわかった。5月25日に開かれた、厚生労働省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」に報告された。
速報値をみると、22年の総病床数は119.9万床。医療機能別の内訳は、(1)高度急性期:15.7万床、(2)急性期:53.4万床、(3)回復期:19.9万床、(4)慢性期:30.8万床―という結果。一方、25年の総病床の見込数は119.0万床となり、22年から約0.9万床減少。医療機能別では、(1)高度急性期:15.9万床(22年比・0.1万床増)、(2)急性期:52.5万床(0.8万床減)、(3)回復期:21.0万床(1.0万床増)、(4)慢性期:29.6万床(1.2万床減)―となった。
これに対して医療需要から推計した25年の病床の必要量は、総病床数が119.1万床となり、その内訳は(1)高度急性期:13.0万床、(2)急性期:40.1万床、(3)回復期:37.5万床、(4)慢性期:28.4万床―となっている。
計算方法が異なるため単純比較はできないが、必要量を地域医療構想実現の目安と考えると、医療機能別で見た場合、高度急性期と急性期は見込数が必要量よりも多く、逆に回復期は見込数のほうが必要量よりも少ないという違いはあるものの、総病床数ではほぼ同水準となった。
そもそも病棟には様々な病期の患者が混在しているが、病床機能報告では1病棟につき1つの医療機能しか選べない。このため、例えば急性期機能と報告された病棟に実際には回復期の病床が含まれている可能性がある。
こうした点を踏まえて織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は、数字上、回復期が不足するように見えても実際に足りない訳ではなく、「(地域医療構想は)比較的うまくいっているのではないか」と評価。今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)も医療療養病床における医療区分1の該当者割合が低下していることから、医療ニーズが低い患者の在宅などへの移行は進んでいるとし、「病床を増やさずに乗り切りつつあるという点で、最初の構想は成功していると考えていいのではないか」と述べた。
これに対して幸野庄司構成員(健康保険組合連合会参与)は、高度急性期を含む急性期病床の集約化を改めて要望。その際には、3万床を超える非稼働病床の中身を十分精査し、対策を講じる必要があると訴えた。