マイナ保険証を巡って混乱や批判が広がる中、日本医師会は7月5日の定例会見で、現時点でのマイナ保険証に関する見解を発表した。担当の長島公之常任理事は、保険証が廃止される2024年秋までに、資格確認書を必要とする人全員に、資格確認書を確実、迅速、大きな負担なく交付される必要がある―と指摘。その体制整備を国に求める一方、「万一その整備が間に合わない場合は、既存の保険証や資格確認書の有効期限の延長も含め、必要な対応をお願いする必要がある」と述べ、政府は1年とする方針の有効期限の延長も視野に対応を求めていく考えを示した。
長島常任理事はまた、6月29日の社会保障審議会医療保険部会で、マイナ保険証で資格確認ができない場合についての対応が決まったことについて「大きな前進」と評価。7月20日に開催する都道府県医師会社会保険情報システム連絡協議会でもその内容を説明し、全国の地域医師会に協力を要請していくとしている。
マイナ保険証の問題は6月25日の定例代議員会でも取り上げられるなど困惑が広がりつつある。質疑では「マイナンバーカードを取得していない人の中には(申請のために)役所に行けない人もいる。資格確認書の申請に役所に行くのも困難と思われる。無保険状態にならない方策を講じられないか」と日医の見解を問う質問があり、答弁の中で松本吉郎会長は「資格確認書を希望する国民全員に確実に発行するのは当然のこと。最大1年間とされている既存の保険証の有効期間や、資格確認書の有効期間を延長することも含め、保険資格の確認手段の確実な担保に向けてしっかり検討していく必要がある」との見解を示している。