中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は7月5日、2024年度薬価制度改革について関係業界から意見を聴取した。業界側からは、薬価を下支えする仕組の充実や、革新的医薬品を迅速に国内導入した場合の薬価上の評価の新設、特許期間中の薬の薬価改定対象からの除外、市場拡大再算定におけるいわゆる共連れルールの廃止―などを求める声が上がった。
日本製薬団体連合会は、医薬品の供給問題やドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスへの対応を次期制度改革の最重要課題と位置づけ、(1)薬価を下支えする仕組みの充実、(2)物価高騰等の影響を踏まえた対応―の2点を求めた。
(1)では基礎的医薬品の対象範囲(品目要件や収載からの年数等)の拡充や、不採算品再算定が柔軟に適用されるようなルールの見直しを要請。(2)では、医薬品の安定供給に大きな影響を与える特殊な事情がある場合に、適時薬価を引き上げる仕組が必要だと訴えた。
中長期的な課題として薬価改定方式の見直しも求めた。薬価差の縮小を目的とした毎年薬価改定の実施で薬価が加速度的に下がることが、日本市場の魅力低下を招き、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスが発生する原因にもなったと指摘。その上で、薬価差そのものが生じない仕組も含め、薬価改定のあり方についての検討を進めていくべきだとした。
日本製薬工業協会は、革新的な医薬品を欧米へ上市後一定期間内に国内上市した場合の薬価上の評価として、「迅速導入評価制度」の新設を提言。医療上特に必要とされる品目を対象とし、新規収載時の薬価算定の際に類似薬を柔軟に選定する、市場拡大再算定の適用を免除する―などの特例を設ける案を示した。
特許期間中の新薬の薬価の維持では、現行の「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)に代えて「患者アクセス促進・薬価維持制度」を創設し、革新的新薬(現行の新薬創出等加算や前出の迅速導入評価制度の該当品目を想定)を薬価改定対象から除外することを提言した。市場拡大再算定の際に類似薬にも再算定が適用される、共連れルールの廃止も訴えた。
また日本ジェネリック製薬協会は、後発医薬品の薬価改定時に同一成分の品目の薬価を集約するルールの対象から安定供給されている品目を除外し、銘柄別収載に改めることを提案した。