中央社会保険医療協議会薬価専門部会は8月23日、薬価算定組織から次期薬価制度改革に関する意見を聞いた。算定組織側からは、原価計算方式における製品総原価の開示度向上のためにメリハリの効いた見直しを行うことや、市場拡大再算定における類似品の取扱いの見直しなどが提案された。
原価計算方式については2022年度の薬価改定時に、製品総原価の開示度が50%未満の品目には実質的に補正加算がつかないようにする見直しを実施。ところがこれ以降に同方式で算定された品目の約9割は開示度50%未満と、一向に改善がみられない。一方、算定組織による営業利益率の分析では、売上に占める輸入医薬品の割合が80%以上の企業の平均は6.6%、90%以上の企業は5.9%と低く、国内企業の平均的な営業利益率(16.6%)の半分以下であることもわかった。
こうした実態を踏まえ算定組織は、①輸入医薬品は原価計算方式での算定の際に営業利益率を平均的な営業利益率より限定的な範囲で適用する(平均よりも低い営業利益率を適用)、②開示度が相当程度高い品目はインセンティブとして何らかの評価を検討する―ことを提言した。
市場拡大再算定では、対象品の薬理作用類似薬や組成が同一の品目(=類似品)にも再算定を適用する、いわゆる共連れルールに言及。企業への予見性への配慮や、複数の効能・効果を有する品目が増え、薬理作用類似薬間での競合性の判断が難しくなっていることを理由に、「類似品」の取扱いを見直す必要性を指摘した。
新薬創出・適応外薬解消等促進加算で、薬理作用類似薬のうち最も早く収載された品目(1番手)が有用性加算等に該当して品目要件を満たす場合は、3年以内・3番手以内の品目も加算対象となる品目要件の見直しも提言。薬理作用の類似性は問わず、(1)有用性加算等に該当して品目要件を満たす品目を比較薬として算定された品目、(2)前出の(1)に該当する品目を比較薬として算定された品目―は、有用性加算等に該当する品目(1番手)から3年以内・3番手以内の収載品目に限り、品目要件を満たすものとして扱う案を示した。
近年、類似薬効比較方式の算定時に薬理作用が異なる品目が比較薬に選定されるケースが増えている点を考慮した。