厚生労働省は8月24日の社会保障審議会医療保険部会で、2024年度秋の健康保険証の廃止に向けた対応などを報告した。この中で、「資格確認書」の取扱いについて、本人からの申請の有無を問わず、マイナ保険証を持たない人全員に交付するなどの方針変更があったことを説明した。
政府はマイナ保険証の利用を推進するため、24年秋に現在の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化する考え。廃止後、マイナ保険証を持たない人は、保険者が無料で発行する「資格確認書」で医療機関を受診することになる。
資格確認書は当初、本人から申請があった場合に交付し、有効期限は1年間を上限とする方針だった。しかしデータの紐づけミスなどが相次ぎ、国民の間に不信感が高まったことから、政府はこの方針を転換、①申請を不要とし、当面の間、マイナ保険証を持たないすべての人に資格確認書を交付する、②有効期間は5年以内で保険者が設定する(継続的な利用が必要な要配慮者は申請なしで更新する)、③いったん利用登録をしたマイナ保険証でも、その登録解除を可能とし、解除した人に資格確認書を交付する―との取り扱いを決めた。資格確認書の様式も、現行の実務・システムを活用するとして、大きさはカード型(はがき型を含む)、材質は紙またはプラスチックにするとしている。
オンライン資格確認の義務化対象外となっている医療機関を、マイナ保険証の利用者が受診する場合の取り扱いも示した。利用者が、①マイナ保険証と一緒にスマートフォンを携行し、受診時にスマートフォン画面でマイナポータルの被保険者資格情報を提示する、②マイナ保険証と、保険者が発行する「資格情報のお知らせ」(被保険者情報や負担割合等が記載)を一緒に提示する―のいずれかの対応を取れば受診が可能となる。
認知症などで暗証番号の管理が難しい人には、今年11月以降に暗証番号の設定が不要なマイナカードを発行する。マイナポータルなどの暗証番号が必要なサービスは利用できないが、医療機関・薬局の受診や本人の同意に基づく過去の受診・薬剤情報等の提供など、マイナ保険証としての利用は可能。
厚労省のごく粗い試算によると、保険証の廃止に伴う保険者全体のコスト削減効果は、(1)マイナ保険証保有が現状のままの場合(利用登録率52%)/76〜82億円の削減、(2)マイナ保険証保有が現状より進む場合(同65〜70%)/100〜108億円の削減―となる見込みだという。