自宅で過ごしたいと願う患者の思いに応えたいと、在宅医療に携わって15年以上になる。1例ごとに、医師としてあるいは1人の人間として、学ぶことが多い。
69歳男性、膀胱癌の患者。当初は、手術や抗癌剤治療が考慮されたが、患者は治療を見送りたいと言った。私は、この人が患者になるずっと前から付き合いがあり、性格も十分理解していた。だから、その意思を聞いても、あまり驚かなかった。生活が医療に支配されるより、自由でいたい、という考えの持ち主だった。
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