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経変性疾患の多様性(小田陽彦)[プラタナス]

No.5276 (2025年06月07日発行) P.3

小田陽彦 (兵庫県立ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長)

登録日: 2025-06-05

最終更新日: 2025-06-03

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  • 自分が医師4年目で認知症を本格的に診はじめた頃のことである。物忘れ外来を訪れた50歳代後半の女性がいた。主訴は2年前から徐々に始まった記憶障害、料理の単調化、道迷い、物の置き場所の忘れで、MMSE は23点以下だった。緩徐進行性であるのをふまえると変性性認知症を第一に疑ったが、ルーティンで行う神経学的診察のうちの対座試験において、受診者本人の自覚はないものの、左同名半盲がみられた。

    半盲があれば脳血管性病変が脳内で生じている可能性がある。すなわち脳血管性認知症の可能性が高くなる。そこで頭部画像検査(MRI/MRA)を実施したが、脳梗塞や脳出血はみられず、半盲を説明しうる病変は見当たらなかった。次にフリッカー視野検査を実施したところ、視野の中心部のみ保たれた左同名半盲、すなわち黄斑回避(macular sparing)のある左同名半盲がみられた()。

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