次期診療報酬改定の改定率が正式に決定したことを受け、三師会は12月20日、日医会館で合同記者会見を行った。松本吉郎日本医師会長は、本体0.88%の引き上げとなったことについて、「必ずしも満足するものではないが、率直に評価したい」と改めてコメント。会長として初めてとなった改定の感想を問われ、「私としては日医、地域医師会、役員、職員、いろんな団体の皆さんと総力戦で行った結果と受け止めている」と振り返った。
看護職員など医療関係職種の賃上げ分として0.61%が措置されたことについては、「今回はあくまで財源の大枠が決まったもの。どのように配分するかについては中医協での議論が深まっていくものと思う」と判断を留保しつつ、「財源をしっかり活用して、対象となっている方々の賃金アップに向けて対応していきたい」と表明した。ただ、その具体的な方法に関しては、「2年前の看護職員の処遇改善のときも非常に難しい議論だったが、今回はもっと広く、職種も多くなった。なかなか簡単な話ではない」と難しい作業になるとの見通しを示した。
0.61%の評価ついては、日本歯科医師会の高橋英登会長も「これで一安心というわけにはいかない」、日本薬剤師会の山本信夫会長も「精査をしてみないとよくわからない」と述べ、現時点では判断がつきにくいことを窺わせた。
今回の改定は、日本経済がインフレ局面に入りつつある中で、医療関係職種の賃上げを診療報酬でどう対応するかが最大の論点となった。松本日医会長は、「いままで30年あまり、デフレ下でそういった議論がなされずに改定がなされてきた」「今回は大きなターニングポイントの改定だったと思うが、厚労省も財務省も、私たちも戸惑いの中で始まった改定だった。今後、これをどういかしていくか、継続した議論が必要」と振り返った。