地域包括ケアをテーマにしたシンポジウム(医療科学研究所主催)が9日、都内で開かれ、地域包括ケアシステムにおける認知症の位置づけや、高齢者の中から専門職の介入が必要になる中重度者をどう特定するかが話題になった。
シンポには厚労省の予算事業として地域包括ケアのあり方を検討している「地域包括ケア研究会」(座長=田中滋慶大名誉教授)のメンバーらが登壇。
田中氏は地域包括ケアシステムの概念の中に認知症をどのように位置づけるかが課題と指摘した。
●「認知症は地域包括ケアに最適」
認知症について、筒井孝子氏(兵庫県立大院教授、写真左端)は「ケアが複雑で効率化を要するため、地域包括ケアシステムに最も適した対象」と主張。
地域包括ケアシステム構築の課題として、自治体間の資源にバラツキがあることや、資源を集中投下すべき中重度者と、本人や非専門職の努力でカバーできる軽度者とをどのように分けるかが重要になってくると指摘した。
【記者の眼】研究会の報告書は厚労省の施策に強い影響を及ぼしている。メンバーの筒井氏は要介護認定の仕組みや医療保険の重症度、医療・看護必要度の開発者だ。(K)