社会保障審議会医療保険部会は3月14日、後発医薬品の使用促進に関する新目標の案を了承した。従来からの数量ベースのシェア目標に加え、金額ベースの副次目標を設定。2029年度末までに後発医薬品の金額シェアを65%以上にすることを目指すとした。政府目標の決定を受け、各都道府県は24年度中に都道府県目標とその達成のための施策を定め、「第4期医療費適正化計画」(24〜29年度)に反映させる。
政府は現行の目標である「23年度末までに全都道府県の後発医薬品の数量シェアを80%以上にする」についてこれまで、金額ベースの視点を加味する形で23年度中に見直す方針を打ち出していた。
新しい政府目標は主目標と副次目標で構成される。このうち主目標に関しては、後発医薬品を中心に医薬品の供給不安が続いていることや、後発医薬品産業の産業構造の見直しが進められることを考慮。数値目標の変更は行わず、「29年度末までに全都道府県の後発医薬品の数量シェア80%以上」で据え置くことになった。新設の副次目標には、①29年度末までにバイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の60%以上、②後発医薬品の金額シェアを29年度末までに65%以上―の2項目を定める。
目標設定年度等は後発医薬品の安定供給の状況等に応じて柔軟に対応する。26年度末を目途に状況を点検し、必要があれば目標のあり方を検討することも決まった。
厚労省によると、23年薬価調査における後発医薬品の全国シェアは、数量シェアで80.2%、金額シェアでは56.7%。金額シェアは、バイオシミラーへの置き換えの増加や大型(総額の大きい)後発医薬品の上市を背景として、21年薬価調査時の50.5%から22年調査時52.2%、23年調査時56.7%―と右肩上がりの上昇が続いている。
一方、NDBデータによると、後発医薬品の数量シェア80%以上を達成した都道府県は21年度時点で29道県にとどまる。目標未達の都府県においては今後、保険者による差額通知の実施への支援や医療関係者へのフォーミュラリの周知などの取り組みが進められる予定。国も金額ベースの使用割合を薬効分類別に示すなど、必要なデータの提供を通じて都道府県の医療費適正化の取り組みを支援する方針を明らかにしている。