中央社会保険医療協議会は9月25日に開いた薬価専門部会で、2025年度の薬価の中間年改定におけるイノベーションの評価について議論した。24年度薬価改定ではイノベーションの評価充実を目的とした大きな見直しが行われており、次期改定で追加的対応を実施することについては支払・診療側の双方から否定的な意見が示された。
24年度の薬価改定時にはイノベーションの評価やドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けた改革として、①「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の企業区分の廃止と特許期間中の薬価維持、②「迅速導入加算」の新設、③新薬収載時・薬価改定時の加算の充実―などが実施された。
厚労省のデータによると、新薬収載時の補正加算適用割合は改定前の23年度が69.4%(36成分中25成分)だったのに対して、改定後の24年度は8月までの実績で85.0%(40成分中34成分)に上昇。全体的に高い加算率にシフトしている傾向がみられ、50%以上の補正加算適用成分は23年度の1成分に対して、24年度はすでに8成分となっている。また、「新薬創出等加算」の対象企業数は105企業となり、企業区分廃止の影響で23年度の92企業から大幅に増加した。
ただ、前回の部会に製薬業界が報告した製薬企業30社のアンケート調査では、24年度改定の日本市場の投資優先度への影響について12社が「現時点で大きな変化なし」と回答。企業の行動変容にはさらなる前向きな改革が必要との声が多いことが明らかになっている。
こうした業界側の受け止めを診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「貴重な医療資源を投入して評価しても効果が期待できないと判断せざるを得ない」と批判。「業界が具体的に前向きな取り組みを示さない限り、議論は進まない」と次期改定での追加的対応に難色を示した。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、新薬収載時の補正加算適用率が改定後に上昇していることなどに触れ、「(24年度改定において)イノベーションは十分評価されており、その枠組みはできている」と指摘。評価の充実によって保険財政が逼迫することのないよう、「25年度の薬価改定は国民皆保険の持続可能性とのバランスをより強く意識すべきだ」と主張した。