厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は10月17日、2040年に向けた地域医療構想で病床機能とともに医療機関に報告を求める医療機関機能の考え方などの案を大筋で了承した。急性期病院を想定した「救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能」について、今後の需要減を見越した集約化が必要である点を考慮し、救急医療の実績や地域でのシェア等による基準値を設定することなどを盛り込んだ。
医療機関機能は、構想区域などの地域ごとに整備する機能と都道府県などの広域で整備する機能に大きく分かれる。前者についてはこれまでの議論で、(1)高齢者救急の受け皿となり、地域への復帰を目指す機能、(2)在宅医療を提供し、地域の生活を支える機能、(3)救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能、(4)その他地域を支える機能(特定の診療科に特化した専門病院等を想定)―の4機能とする案が示されている。
このうち高齢者救急以外の急性期が対象の(3)の機能は需要の減少が見込まれており、医療従事者不足への対応や医療の質向上の観点からも拠点となる医療機関へのマンパワーや症例の集約化が課題となっている。このため厚労省は、医療機関が当該機能を報告する場合の基準を設けることを提案。その設定にあたっては地域ごとの医療需要のばらつきが加味されるよう、救急車受入台数や手術件数といった絶対的な医療の提供量だけでなく、地域でのシェア等も考慮する方針を打ち出した。構想区域ごとにどの程度の病院数を確保するべきか、病院へのアクセスや構想区域の規模等を踏まえながら検討することも提案した。
一方、広域で整備する医療機関機能の具体例として示されていた、「医師の派遣機能」、「医育機能」、「より広域な観点で診療を担う機能」(三次救急や移植・難病医療などの高度専門医療を想定)の3機能はいずれも大学病院が主な担い手となることから、大学病院本院が担う「医育及び広域診療機能」として1つに集約。大学病院本院以外の医療機関が医師派遣や救命救急センター等を担っている場合は、前出の「救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能」を報告した上で、二次医療圏を超える広域の機能を担っていることやその実績の報告も求めると整理した。