神戸大学認知症予防推進センターの古和久朋センター長(写真)は10月29日、日本イーライリリー主催のメディア向けセミナーで、9月に承認された早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ」(一般名:ドナネマブ)の臨床上の価値について解説し、「投与を完了できる可能性があること」などのメリットを強調した。
ケサンラは臨床試験で、1年(52週)で66%の患者のAβプラークを除去し、投与完了後も効果が持続することが確認されている。古和氏は「1年を目安に投与を完了できることは治療の負担軽減につながり、『脳内のAβプラークを取り除く』という治療目標を患者と医療者の間で持つことができる」と述べ、「認知機能低下と日常生活動作低下の進行を抑制できる可能性があること」も利点として挙げた。
古和氏は、記者からの質問に答えてケサンラの投与対象となる患者像についても解説。医療現場で先行使用されている「レケンビ」(一般名:レカネマブ)は最適使用推進ガイドラインで「認知機能評価MMSEスコア22点以上」とされていることを念頭に「ケサンラはもう少し点数の低い方でも使える可能性がある」との見方を示した。ケサンラの最適使用推進ガイドラインは12月にも策定される見通しだ。
「ケサンラ」の臨床試験(TRAILBLAZER-ALZ 2試験)でAβプラーク除去を達成した患者割合
【早期AD患者全体】24週:29.7%(プラセボ群0.2%)、52週:66.1%(同0.1%)、76週:76.4%(同0.3%)
【軽度~中等度タウ蓄積集団】24週:34.2%(同0.2%)、52週:71.3%(同0%)、76週:80.1%(同0%)
【関連記事】
早期アルツハイマー治療薬ドナネマブ承認へ
アルツハイマー病疾患修飾薬「ドナネマブ」申請、「レカネマブ」に対するアドバンテージは?