編集: | 竹島多賀夫(富永病院副院長/脳神経内科部長/頭痛センターセンター長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 216頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2022年10月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6682-0 |
付録: | 電子版付き |
『頭痛の診療ガイドライン2021』や『国際頭痛分類 第3版』などの知見を踏まえて、頭痛診療をまとめました。
◆総論として頭痛に関する基本的な知識を解説した上で、非専門医の先生方が実臨床で適切な診療ができるように、頭痛診療のエキスパートが具体的なノウハウを開示する構成となっています。
◆現場からの実際の疑問に答えるかたちで、最新のトピックも紹介。
◆慢性頭痛の患者さんをフォローしなければいけない先生から、一般・救急外来で頭痛に関わる先生まで、頭痛に関するすべての医師の皆様におすすめの1冊です!
本書は、Webコンテンツ(PDF版+HTML版)としても別途ご購入いただけます
第1章 頭痛診療の基本:これだけは押さえておこう
1 危険な二次性頭痛を見逃さない(ER) [松森保彦]
2 危険な二次性頭痛を見逃さない(一般外来,頭痛外来) [滝沢 翼]
3 片頭痛を正しく診断する(分類,診断基準,診断のポイント,鑑別診断) [竹島多賀夫]
4 片頭痛の急性期治療(総論) [西郷和真]
5 片頭痛発作重積の対処 [菊井祥二/竹島多賀夫]
6 緊張型頭痛の診断と治療 [北村英二]
7 群発頭痛の診断と治療 [今井 昇]
8 小児の頭痛の診かた [安藤直樹]
9 高齢者の頭痛の診かた [瀧川洋史/花島律子]
10 妊婦,授乳婦,妊活中の片頭痛治療 [稲垣美恵子]
第2章 頭痛患者のQOLを改善するためのノウハウ
1 片頭痛急性期治療の二手目―トリプタンの使いわけ,効果を高める使用法 [仁平敦子]
2 片頭痛予防薬(経口薬)の使い方 [粟木悦子]
3 片頭痛予防薬(CGRP関連抗体薬)の使い方 [工藤雅子]
4 片頭痛患者の生活指導 [下村登規夫]
5 慢性片頭痛,薬剤の使用過多による頭痛の診断と治療 [海野佳子]
6 片麻痺性片頭痛・脳幹性前兆を伴う片頭痛 [古和久典]
7 群発頭痛以外の三叉神経・自律神経性頭痛 [石﨑公郁子]
8 新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)の診断,治療,予後 [北村重和]
9 片頭痛の認知行動療法 [端詰勝敬]
10 慢性頭痛に対する集学的診療 [柴田政彦]
11 オンライン診療 [島津智一]
12 頭痛ダイアリーの活用 [中野俊也]
13 頭痛医療における診断書の活用—学校へ,職場へ,公的支援制度の活用 [團野大介]
第3章 頭痛関連トピックスQ&A
Q1 「頭痛の診療ガイドライン2021」が公開されたが,旧版からの改訂のポイントは? [荒木信夫]
Q2 日常診療で「国際頭痛分類」をどう活用すればよいか? [清水利彦]
Q3 海外,わが国において片頭痛や緊張型頭痛の患者はどのくらいいるか? [五十嵐久佳]
Q4 片頭痛の疾病負担にはどのようなものがあるか? [石井亮太郎]
Q5 頭痛外来・頭痛センターの役割とは? [山元敏正]
Q6 頭痛診療にチーム医療は有効か? [浅野賀雄]
Q7 片頭痛の三叉神経血管説とはどのようなものか? [永田栄一郎]
Q8 CGRPやPACAP-38は片頭痛にどのように作用するか? [柴田 護]
Q9 皮質拡延性抑制は片頭痛にどのような影響を及ぼすか? [滋賀健介]
Q10 光は片頭痛にどのような関係があるか? [辰元宗人]
Q11 頭痛と睡眠にはどのような関係があるか? [杉山華子]
Q12 片頭痛の新しい治療薬gepant,ジタンはどの程度効果があるか? [髙橋牧郎]
Q13 頭痛治療においてニューロモデュレーションは有効か? [團野大介]
Q14 頭痛治療において漢方薬の活用は有効か? [來村昌紀]
Q15 頭痛治療において鍼灸の活用は有効か? [山口 智]
Q16 片頭痛の患者は低用量経口避妊薬を使用できるか? [内藤子来]
Q17 片頭痛の共存症にはどのようなものがあるか? [尾崎彰彦]
Q18 片頭痛と脳血管障害はどのような関係があるか? [秋山久尚]
Q19 高血圧と頭痛には関係があるのか? [伊藤泰広]
Q20 可逆性脳血管攣縮症候群の特徴と対応にはどのようなものがあるか? [下田雅美]
Q21 低髄液圧性頭痛・頭蓋内圧亢進性頭痛にはどう対応すべきか? [光藤 尚]
Q22 高山性頭痛と潜水時頭痛にはどう対応すべきか? [橋本しをり/沢田哲治]
Q23 精神疾患による頭痛とはどのようなものか? [山田和男]
Q24 頭痛における神経痛(三叉神経痛, 有痛性三叉神経ニューロパチー, 後頭神経痛ほか)とは何か? [下畑敬子]
Q25 long COVID,コロナワクチン接種後の頭痛の特徴と対応にはどういったものがあるか? [椎名智彦/田中優子/鈴木圭輔]
Q26 頭痛による不登校にはどう対応すべきか? [山中 岳/呉 宗憲]
Q27 軽症頭部外傷(スポーツ外傷・外傷性頭痛を含む)による頭痛はどのように診療するか? [山口陽二]
索引
巻頭言
このたび,「ジェネラリストのための頭痛診療マスター」と題する特集を組ませて頂きました。わが国では2000年にスマトリプタン注射薬が,その後は経口トリプタン薬が次々と上市されました。トリプタンの登場により頭痛医療は大きく進展しましたが,多くのアンメットニーズがありました。
その後,頭痛の神経科学研究が飛躍的に進み,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛の発現に果たす役割が解明されました。CGRPを標的とする新たな治療の研究が進められ,2021年にわが国でもCGRP関連抗体薬が3製剤上市され,大きな成果をあげつつあります。また同年,日本神経学会,日本頭痛学会,日本神経治療学会による『頭痛の診療ガイドライン2021』が公開されました。2013年版から8年目の改訂版で,最新のエビデンスが取り入れられています。
かくして,2021年,わが国の頭痛医療は大きな変革期を迎えました。今回この変革期に,多くの医師,医療従事者に頭痛に関する最新の知識をお届けすべく企画させて頂きました。
第1章は「頭痛診療の基本:これだけは押さえておこう」としました。危険な二次性頭痛の鑑別,よく遭遇する一次性頭痛,すなわち,片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛の診断と治療,また小児,高齢者,妊婦に関わる頭痛診療について解説頂きました。第2章は「頭痛患者のQOLを改善するためのノウハウ」として,頭痛診療のスキルアップのための知識やノウハウを紹介頂きました。第3章は頭痛関連のトピックスをQ&Aの形式で解説して頂きました。
執筆は,わが国の頭痛領域で活躍されている新進気鋭の先生方,今後の頭痛医療を牽引するオピニオンリーダーの先生方にお願いしました。原稿を通読しましたが,すべて力作で読みごたえのある内容になっています。企画時の想定より紙数がかなりオーバーしてしまい,編集部にはご苦労をかけてしまいましたが,各執筆者の意気込みの表れですので,可能な限り削らずに編纂してもらいました。多くの読者にとって有意義な特集になっていると自負しています。
本特集が頭痛診療に携わる多くのジェネラリストのお役に立ち,その結果として多くの頭痛患者に恩恵がもたらされることを祈念しています。
2022年9月吉日 大阪にて
富永病院副院長/脳神経内科部長/頭痛センターセンター長
竹島多賀夫