厚生労働省は11月20日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」に、医師偏在対策の具体案を提示した。へき地以外の早急に医師の確保が必要な地域を「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」に指定し、当該地域を対象にした「医師偏在是正プラン(仮称)」を策定することや経済的インセンティブ措置を講じることなどを盛り込んだ。
厚労省案によると、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」は、都道府県が厚労省の提示する候補区域を参考に設定する。厚労省の候補区域は、①各都道府県の医師偏在指標が最も低い二次医療圏、②医師少数県の医師少数区域、③医師少数区域かつ可住地面積当たりの医師数が少ない二次医療圏(全国下位1/4)―のいずれかに該当する100カ所程度が選定される見通し。ただし、重点支援区域の設定単位については、二次医療圏だけでなく、市町村単位や地区単位など地域の実情に応じた柔軟な設定を可能とする。
重点支援区域を対象に都道府県が策定する「医師偏在是正プラン(仮称)」には、支援対象医療機関、必要医師数、医師偏在是正に向けた取り組みなどを書き込む。緊急的な取り組みを要する事項から先行して策定していき、2026年度にプラン全体を策定。これに合わせて26年度から重点支援区域への経済的インセンティブを本格導入する。その具体的内容では、(1)重点支援区域で承継・開業する診療所への支援、(2)重点支援区域内の一定の医療機関に派遣される医師および従事する医師への手当増額の支援、(3)重点支援区域内の医療機関に医師を派遣する派遣元医療機関への支援―などの実施を提案。このうち(1)は緊急的な取り組みが必要な事項として先行実施する。
経済的インセンティブの原資については、国による支援のほか、地域間・診療科間の医師偏在是正のための診療報酬での対応を提案。特定の地域に診療報酬で対応した場合に当該地域の患者負担上の増加を招く恐れがあるものについては、すべての被保険者が広く負担することになるよう、保険者からの拠出を求める案を提示。保険者からの拠出案に保険者の構成員は強く反発したが、賛意を示す構成員もあった。