光栄にも、「識者の眼」の執筆の依頼を頂きました。
自分が「識者」とはなかなか思えず、まず今回は、日本(や世界)の識者たちの論文を紹介する機会としたいと思います。
ヘルスリテラシーは「健康を決める力」とも訳されています。
日本人のヘルスリテラシーが、海外の人よりも高くないことは以前から指摘されています1)。ヘルスリテラシーが低いと言うことは、たとえば、病気の治療に関して「医師任せ」になる傾向も考えられ、筆者の外来でも(特に高齢の)患者さんから「〔私(患者さん)は〕よくわからないからお医者さんに全部お任せしています」と言われることも少なくありません。
一方、最近は高齢者も、テレビや新聞だけでなく、SNSやYouTubeなど、インターネットからも情報収集をする機会が増えているというような報道も目にします。
2017年の報告では、60歳以上が情報源として利用するのは、テレビ(45%)、友人や家族(40%)、新聞(36%)、インターネット(14%)となり、地域差もみられて、都市部のほうが、インターネットの利用時間は増えているとの結果が示されています。
また、2021年の報告によると、都市部の65歳以上では、情報源として、テレビ、友人・家族、(知り合いの)医師や専門家、新聞、広報誌、インターネットの順での活用がされています。
高齢者もスマートフォンを持ち、インターネットの使用が増えているとはいえ、2021年の報告からも、主な情報源は現在もテレビであることが考えられます。
我々医療者も、以前よりも見なくなったとはいえ、テレビを見ることは見ていますが、テレビで見た、特に医療に関する情報を、どの程度信頼しているか、そのあたりの患者さんとのギャップを、日常診療で感じています。その「ギャップ」に関しては、次回また、考察してみたいと思います。
【文献】
1)Nakayama K, et al:BMC Public Health. 2015;15:505.
樫尾明彦(給田ファミリークリニック)[ヘルスリテラシー][情報収集]