政府は2月14日、医療機関機能報告の創設や外来医師過多区域における対策などを盛り込んだ「医療法等の一部を改正する法律案」(医療法等一部改正案)を閣議決定し、国会に提出した。施行日は一部を除き、2027年4月1日とする。
医療法等一部改正案は、(1)地域医療構想の見直しとオンライン診療の法制化、(2)医師偏在是正に向けた総合的な対策、(3)医療DXの推進―などで構成される。
(1)では2040年頃を見据えた医療提供体制の確保のため、地域医療構想の対象範囲を入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む医療提供体制全体に拡大。病院と有床診療所に医療機関機能(高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能など)の報告を求める制度を創設するほか、地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確化し、在宅医療や介護との連携などをテーマとする場合の参画を求める。
オンライン診療の一層の推進に向けた法整備として、オンライン診療を医療法で定義。厚生労働省令で「オンライン診療の適切な実施に関する基準」(必要な施設・設備、人員配置、患者への説明、患者の病状急変時の対応など)を定め、オンライン診療の実施医療機関の管理者に自院の医師が基準を遵守するのに必要な措置の実施を求める。また施設にいる患者に対し、複数の医療機関等がオンライン診療を提供できる場として、新たに「オンライン診療受診施設」の設置を可能とする。
(2)では、医療計画で定める事項に、「重点的に医師を確保すべき区域」(重点区域)における医師の確保方針や確保すべき医師の目標数、目標達成に向けた施策などを追加。重点区域の病院、診療所に勤務する医師の手当の増額支援などを行う。診療所の偏在是正策では、外来医師数が顕著に多い「外来医師過多区域」において診療所への対応を強化する(新規開業6カ月前までの事前届出、都道府県知事の勧告等を受けた場合の保険医療機関の指定期間短縮など)。
(3)では、必要な電子カルテ情報の医療機関での共有や感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由での提出を可能とする規定を整備。電子カルテ情報共有サービスの普及促進を狙い、地域医療支援病院や厚生労働省令で定める病院に電子カルテ情報を提供・利用できる体制整備の努力義務を課す。