東京都医師会は18日に会見を開き、森久保雅道理事が死因究明を実施する検視・検案体制について都の現状を説明し、「危機的状況に瀕している」と懸念した。
東京都の検視・検案体制は2つの仕組みで運用されている。23区は政令に基づき東京都監察医務院が検案・解剖を行うが、多摩・島しょ地域では都医や大学が協力して業務を実施しており、森久保理事はその現状を問題視。政令適用外地域では23区に比べ解剖率が低く、多摩地区の検案を委託している医師の20%以上が70代以上であるなど高齢化も進み、府中市、稲城市、日野市では検案医が不在になっていると説明した。
森久保理事は「解剖率が低ければ異状死を見逃すことにつながる」と懸念し、「正確な死因究明は人間の尊厳を守る医師としての最後の使命」と強調。東京都医師会として、「しっかりとした死因究明体制の構築に向け、監察医制度の全都展開実現を関係各所に働きかけていく」と訴えた。