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経済的理由で治療中断「あった」が4割 - 患者負担増や労働環境悪化で受診抑制傾向 [患者受診実態調査]

No.4798 (2016年04月09日発行) P.10

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-11-30

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【概要】保団連が5年ぶりに実施した患者の受診実態調査の集計結果が3月31日に発表された。「経済的理由による治療中断」事例が「あった」と回答した医療機関は約4割に達し、保団連は医療保険制度改革による負担増が主な要因と問題視した。

全国保険医団体連合会(保団連)が歯科を含む全国の会員医療機関を対象に実施した「受診実態調査」の集計結果から、患者の受診抑制傾向が強まっている可能性が示された。同調査は、「治療の中断」「投薬拒否」など、厚生労働省が実施する患者調査からは窺えない患者の受診行動の実態を把握することが狙い。今回の調査では、全国の保険医協会・保険医会の会員8万645の医療機関にアンケート調査を行い、1万1984件(14.9%)から回答があった。
同調査は2010年の第1回以来、5年ぶりの実施。住江憲勇保団連会長(写真)は「実質賃金など労働環境は悪化しているが、この5年間で医療保険制度改革による患者負担は増加している」と現状を問題視した上で、集計結果について「忸怩たる思い。さらなる負担増は容認できない」と訴えた。

■未収金の問題も深刻に
集計結果を見ると、「主に患者の経済的理由によると思われる治療を中断する事例」の有無についての質問で、「あった」が前回調査の38.7%から40.9%に微増した。注目されるのは「なかった」と答えた割合が27.6%と前回の34.2%から6.6ポイント減少した点。また「わからない」は30.4%で4ポイント減となったが、そのうち「未収金があった」との回答は42.8%に上った。一方、診療科別では、小児科の治療中断が「あった」との回答は7.8%と低く、保団連は子どもを対象にした医療費助成制度の拡充が大きな要因と分析した。
治療中断事例の疾患を見ると、内科では、高血圧症と糖尿病がともに6割を超えた。これを受け、武村義人副会長は「慢性疾患の治療中断が目立ち、重症化が懸念される」と述べた。

■「血液検査」「投薬」「レントゲン」を断る事例が上位
このほか、「医療費負担」を理由に検査や治療、投薬を断る事例では、「血液検査」を断る患者が最も多かった。次いで「投薬」「レントゲン」「内視鏡・胃カメラ」「MRI」が続き(表)、武村氏は「適切な診断や治療、慢性疾患の症状のコントロールに支障をきたし、重症化予防を困難にする恐れがある」との懸念を示した。 
医科の具体的な事例では、「薬が切れているはずなのに受診しない」が最も多く、患者の自己判断による薬の飲み伸ばしの事例も多く報告された。また高額な医薬品を断るケースも目立ち、武村氏は「効果の高い新薬が出ても患者負担が重すぎて使うことができない事態が生じている。経済格差が健康格差につながりかねない」と訴えた。

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