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進路を導いた患者さんとの出会い[プラタナス]

No.4791 (2016年02月20日発行) P.3

忽那賢志 (国立国際医療研究センター国際感染症センター)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-27

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  • 私は現在、国立国際医療研究センターの国際感染症センターという部署で働いており、輸入感染症の症例を数多く診ている。私が今の職場で働いているのは、今から5年前に奈良で診た患者さんに出会ったおかげである。

    私は当時、奈良で感染症の研修をしていた。奈良県を研修地として選んだ理由は、1つは奈良県立医科大学附属病院感染症センターという当時から充実した感染症研修ができる施設があったことと、もう1つは奈良にはたくさんのお寺があったからである。私はお寺が大好きで、毎週のように週末になると家族と一緒にお寺を巡っていた。そんなお寺三昧の日々の中、ある患者さんと出会った。

    その患者さんは20歳の女性で、発熱を繰り返すという変わった主訴で受診した。きっちり10日間隔で、これまでに4回も発熱を繰り返しているということであった。いわゆる周期性発熱症候群にしては発熱の間隔が短すぎるように思ったが、感染症でもこのような熱型を呈するものは思い当たらなかった。血液培養をはじめ様々な検査を行ったが、どれも診断には至らず、私は行き詰まった。もうこれ以上発熱を繰り返さないでほしいという願いも虚しく、患者さんは5回目の発熱で来院した。しかし、やはり原因はわからなかった。

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