財務省の財政制度等審議会(吉川洋会長)は17日、来年度予算編成に対する意見書(建議)をとりまとめ、麻生太郎財務相に手交した。建議では、社会保障関係費の伸びを、確実に5000億円に抑えるべきと強調している。
今回の建議では、医師の地域・診療科偏在の是正に言及。医学部定員について「医師需給の見通しを踏まえた精査・見直しを進めるべき」とした上で、特定の地域・診療科に従事した経験を医療機関の管理者要件とすることや、保険医の配置・定数の設定など、国・都道府県の権限強化を求めている。
予算編成で焦点となる給付抑制に関する改革としては、①高額療養費の見直し、②後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、③医療保険の負担能力の判定に金融資産を考慮に入れる仕組みの導入─などを提言。①については、外来特例を廃止するとともに、70歳以上の自己負担限度額を所得区分に応じて、現役と同水準にするよう求めた。③については、今後、預金口座にマイナンバーが任意付番され、マイナンバーで預金情報の照会が可能になることを踏まえ、制度設計を進めるべきとしている。
建議ではこのほか、かかりつけ医を普及する観点から、かかりつけ医以外受診時の定額負担の導入を提言している。
高額薬剤問題に関して、建議では「オプジーボ」と個別の薬剤名を挙げつつ、次回薬価改定を待たずに薬価の引下げを要求。薬価制度そのものについても、保険償還額の決定・薬価改定に際して、費用対効果を本格的に導入し、適応拡大等による大幅な医療費増加に対応できるよう、見直しを求めた。なお、オプジーボの薬価は、建議提出に先立つ16日の中医協で緊急対応として50%引下げが決定している(「オプジーボ」の薬価を50%引下げへ ─ 「16年度緊急薬価改定」【高額薬剤問題】参照)。