登録日: 2017-01-12
最終更新日: 2017-01-12
自動車運転免許更新時に、認知症の疑いがあるとされた75歳以上の高齢者に対し、臨時適性検査の実施または診断書の提出を義務づける改正道路交通法が施行されることを踏まえ、日本医師会の横倉義武会長(写真)は11日の年頭会見で、かかりつけ医向けの診断書作成の手引きを策定する方針を示した。警察庁と協議し、3月12日の法施行までの取りまとめを目指す。
横倉会長は会見で、同法の施行に伴い、専門医以外の医師にも認知症診断が求められる機会の急増が予測され、「多くの不安の声がある」とした上で、「医療資源が少ない地域では混乱を来す恐れもある。長年診てきた患者と家族の相談に対応できるよう、手引き策定の準備を進めている」と述べた。
手引きには専門医に紹介するまでの手順も盛り込まれ、かかりつけではない患者への対応も記載される予定だ。
横倉会長はこのほか、年頭所感として、今年末に来年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた予算編成を控えていることから、「大変な1年がスタートした」と述べ、過不足なく必要な医療提供ができるよう財源確保に努める姿勢を改めて強調。米国トランプ政権の誕生などの国際情勢にも言及し、「先行きが不透明で国民の不安が高まっている時こそ、セーフティーネットとしての社会保障、特に国民皆保険の堅持が求められる」と述べた。
横倉会長は今年10月に世界医師会会長への就任が決まっているが、その抱負についても語り、「我が国の医療の国際貢献の一環として、アフリカにおける公衆衛生の確立と医療の確保、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに向けた支援に取り組みたい」とした。