厚生労働省は8月29日、財務省に対する2026年の予算概算要求の内容を発表した。一般会計総額は過去最大となる34兆7929億円を要求。25年度当初予算から4865億円増となった。このうち、年金・医療など社会保障にかかる経費は32兆9387億円で3516億円増加した。
来年度予算概算要求のうち、重点要求は、(1)社会の構造変化に対応した保健・医療・介護の構築、(2)物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進、(3)包摂的な地域共生社会等の実現―の3分野。
(1)保健・医療・介護の分野では、①医療・介護・障害福祉分野の賃上げ・経営の安定・人材確保等、②地域医療・介護の提供体制の確保、③医療・介護分野におけるDXの推進、④創薬力強化に向けたイノベーションの推進、医薬品等の安定供給や品質・安全性の確保等、⑤予防・重症化予防、女性の健康づくり、認知症施策等、⑥感染症対策の体制強化、国際保健への戦略的取組等、⑦安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保―の7項目を重点要求項目として盛り込んだ。
②のうち、勤務医の働き方改革や医師偏在対策の推進、ACPの普及・推進等に806億円、地域包括ケアシステムのさらなる進化・推進には25年度当初予算から165億円増となる2457億円を計上した。人口減少よりも医療機関の減少スピードが早い地域を重点医師偏在対策支援区域と設定し、同区域における診療所の承継・開業支援事業を新規事業として20億円の経費を要求した。
③の医療DX関連では、6月に閣議決定した骨太方針2025、デジタル社会の実現に向けた重点計画等に基づき、2026年度中の全国導入を目指し、公費負担医療制度等のオンライン資格確認の推進予算として46億円を計上した。自治体や医療機関・薬局でのシステム改修費用を補助する。
なお、物価高対策などを含めた重要政策や26年度診療報酬改定への対応については、事項のみの要求も含め適切に要求・要望を行い、予算編成過程において検討するとした。