日本登山医学会の代表理事を務める。基礎医学や災害医療と強い関係を持ちながら発展してきた同学会で、増山さんは低酸素状態に順応するための生理学的機序を研究してきた。「基礎ばかりではなく、実際に高地を訪れる人に向けた医療にも焦点を当てたい。登山医学を社会性のある医学・医療にしていくのが私の役目かなと思っています」
力を注いでいるのは、「認定山岳医制度」と「登山者検診ネットワーク」。両者とも、近年増加している高齢登山者の健康トラブルを防ぐための取り組みだ。「70代の8割が何らかの生活習慣病を持っています。そんな患者さんに対し、医師は『山なんて行っちゃだめ』と否定しがち。もちろん危険を判断することも必要ですが、『大丈夫、行きなさい』と安全に登るための対策をアドバイスするのも大切な役割です」。そうして生活や視野を広げるために行動を起こす人の背中を押してきた。
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