No.4851 (2017年04月15日発行) P.16
中川俊男 ( 日本医師会副会長)
登録日: 2017-04-14
最終更新日: 2017-04-14
中央社会保険医療協議会では次期2018年度診療報酬改定を巡る議論が急ピッチで進んでいる。地域包括ケアシステム構築に向けた分水嶺となる次期改定のポイントを、中医協委員で日本医師会副会長の中川俊男氏に聞いた。
診療報酬改定の議論で大切なのはまず改定率、つまりどれだけ改定財源があるかということだ。17年4月に予定されていた消費税率10%への引上げ延期で、18年度改定には“充実分”がない。前回16年度改定も消費税率の引上げはなかったが消費税収以外の財源から賄った。しかし、それも次期改定では難しいだろう。
また、注意しなければいけないのが、6月頃にまとまる政府の『骨太方針』だ。恐らく新たな医療費抑制策を打ち出してくる。
改定率が低い場合には、いろいろなことに取り組もうとしないで必要なものに財源を重点的に配分すべきだ。財政中立という前提がある以上、何か画期的なことをやろうとすれば、どこかを大きく削らなければならない。
大きな見直しは混乱を招く。過去2回の改定における7対1入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の見直しが良い例だ。ようやく現場の混乱が収まりつつあるかどうかという段階で、支払側は既に見直しの方向性を打ち出しているが、あまりに拙速と言える。検証の結果が出ないと前回改定の影響については評価できない。
かかりつけ医の普及には、地域包括診療料と加算の要件見直しが必要だ。「小さく産んで大きく育てる」という当初の狙いに立ち返るべき。日本のかかりつけ医は社会保障制度改革国民会議が指摘する「緩やかなゲートキーパー機能」を既に担っている。今のかかりつけ医を増やすことと(国民会議報告書の)目指す方向性は合致している。
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