日本医師会の横倉義武会長は4月26日の会見で、地域医療構想に沿って病床再編を進めるに当たり、民間医療機関に対しても都道府県知事の権限を強化すべきとする財務省の提言に対し、「非常に課題が多い」と牽制した。
地域医療構想に関する知事の権限については、医療機関が過剰な医療機能に転換しようとする場合、医療審議会の意見を聴いた上で、民間医療機関には中止の「要請」、公的医療機関には中止の「命令」ができる。非稼働病床の削減に関しても、公的医療機関には「命令」、民間医療機関には医療審議会の意見を聴いた上で「要請」が可能となっている。
財務省は20日の財政制度等審議会財政制度分科会で、民間医療機関の場合でも要請・勧告に従わない場合、病床単位で保険医療機関の指定取消を可能とするなど、「知事の権限をより実効的なものとしていくべき」と提言した。
会見で横倉氏は、「公的医療機関の非稼働病床の削減が先だ」とした上で、削減で浮いた補助金を社会保障の充実に使うべきとした。また、「都道府県が民間医療機関に閉鎖などを求めることになれば、憲法上の問題にもなる。軽々にすべきではない」と述べ、財務省の改革の方向性に懸念を示した。