来年度から開始予定の新専門医制度について、塩崎恭久前厚労相が2日に「地域医療に悪影響が生じるのではないか、などの懸念を完全に払拭するには至っていない」との談話を発表したことを受けて、日本医師会は3日に会見を開き、「国の関与は謙抑的であることが望ましい」とする見解を発表した。
会見で横倉義武会長は、昨年7月に新理事体制となった日本専門医機構について「新制度開始の延期を発表し、その後も医師の偏在助長を回避すべく真摯に対応してきた」と指摘。各領域学会についても、「偏在助長の回避、医師のキャリアパスへの配慮など懸命な努力を重ねている」とした。
その上で、「(新専門医制度は)法的強制力を持つものではなく、医師の自律的な取組みを学問的に評価するものであり、プロフェッショナル・オートノミーに基づき運用されるべき」と強調。「国の関与はあくまで謙抑的であることが望ましく、日本専門医機構がガバナンスを強化しつつ、関係者の意見を調整しながら運用されていくことが最も重要」との考えを示した。
さらに、若い医師たちが新専門医制度の先行きに不安を抱えているとして、「不安を払拭するためにも、日本専門医機構は2018年度の新たな仕組みの運用開始を見据え、着実に準備を進めることが必要」と指摘。日医も地域医療に十分配慮した仕組みとなるよう積極的に協力していくとした。
新制度を来年度からスタートする方針については、「新制度開始を専門医になりたい若い医師たちに1年待ってもらった。(さらに)2年も待たせることはキャリアへの影響が大きい」と懸念し、「(専門医制度の仕組みが)相当改善されたので、来年度にスタートして問題が起きればその都度解決していく必要がある」との考えを明らかにした。